Qiansen Trophy cyclocross UCI1 day1

毎年参加を見送っていたこの大会。例年ならば、ベルギーにわたりロードレースを転戦して、10月からの本格的なシクロクロスシーズンに向けて準備をしていた。けれど、今年は例年とはスケジュールを変更していた。9月は日本でトレーニングを中心に行う予定にしていたけど、レースを走りたかったために、このレースへの参加を決めた。中国で行うUCI1クラスのレース。例年、多くの日本人選手が参加していたのは知っていた。主催者が参加者のスタッフへも含めた渡航費、滞在費を支払ってくれるため、全員が招待選手。現地での移動や食事も出してくれ、ほんと恵まれすぎている大会だった。主催者に参加を容認された選手のみが参加できる。日本からはエントリーの関係上、Japan Selection Teamって名前になっていたけれど、ナショナルチームではない。エントリーの都合上、そういう名前にしなければいけなかったみたい。さて、今回は僕と、冬はToyoFrameのバイクでシクロクロスに参加するちかちゃん。(福本ちか選手)そして、東洋フレームからメカニックとしてたくちゃんを派遣していただいていた。この三人でできる限りのことは完結し、チームとしての一体感を生ませたかった。僕としてもこのような形でのシクロクロス遠征は初めてだったし、どのような形で進めるのがレースを行う上でベストかと考えた。遠征中に二回それぞれ別の場所でレースが行われる。一回目のレースは9月3日に行われた。中国には二日前に入った。その日はなにかと移動のみに時間がかかり、ホテルにたどり着いて一安心でそのまま就寝。主催者側はほんとに丁寧で、困ったことにはすぐ対応してくれた。中国二日目、この日は他の日本人とも合流し、レースのコース試走にでかけた。コースはハードパック、砂とコンクリート、所々に砂利。そこそこ上るように思うけど、レースペースになるとどうだろうと思った。タイヤは今期から使用するチャレンジタイヤ、CHICANE、SETA。空気圧は1.6Bar。コース幅は常に狭く、スピードが上がるとさらに抜きどころがないのでスタート位置が重要に思えた。この日はちかちゃんの今季使用するクロス車のシェイクダウンも兼ねていたので、主に彼女のセッティングと試走に付き合った。彼女の走り方を見て、何が悪いか、何がいいかをメカと共に見極めて作り上げていく。この日はそこそこで終えた。
さて、レース当日。簡単で単調なコースだけど、シクロクロスのレースリズムとして整えるために、レース前の試走はしっかりと行った。ちかちゃんの試走もチェック。まず、彼女の場合はレースを走ってみて、またなにかレースを走れば発見があるだろうし、レースはとりあえず今の感覚の範囲で行ってもらった。僕もバイクのセッティングをいろいろとしていた。今季に入って、ヨーロッパのレーススピードに対応するために、よりスピードがでるように、アンコントロール方向にバイクを振っていた。それも上半身の体ができてないと走れないポジションだったので、レースを始めるまでは未知だった。おそろしく遅くてコケまくるか、そこそこ去年ぐらいの走りができるか、、という感じで期待値は低かった。自身のレース前には女子のレースの応援。彼女の走りはちっこい背なのにぐいぐいと走る走り。小さいからそういう走りになるんだろうけど、見ていて応援したくなる。序盤の走りはよかったけど、中盤から終盤にかけては、少しお疲れモード。終盤はまた少し盛り返していたし、中盤の落ち込んだ時も必死にプッシュし続けたのだと思う。気持ちの途切れない、ナイスレースだった。さて、いろいろと僕のレースの前振りが長くなったけど、僕のレース。ピット位置もたくちゃんに伝え、スタート前もちかちゃんに付き添ってもらう。スタートコールアップはUCIランキング順。去年は日本でも冴えないレースをしていたので、コールアップ順位は24番目。まぁ焦らず行こうと思った。ヨーロッパのレースを走っていても、上位の選手がスタートで悪くても、はいい順位でゴールしている。スタート位置より、そのあとの走りで挽回できる。それは強いから、、、それなら強い走りをするしかない。さて、僕は三列目。第一コーナーに対してはアウト側の位置取り。スタートは気持ちよく決まるも、第一コーナーで先頭のほうのイン側の選手が落車。アウトに膨らんでこけたから、アウト側の選手は立ち往生。はい、そうです、ぼくは立ち往生。下の写真、一人だけ飛び出し、あとは詰まってるのがわかるかと思います。この詰まってる中のまだもっと詰まってる人でした。
相当の選手に抜かれつつ、再スタート。こけなかっただけよかったけど、それでも順位は30位より後ろ。相当後ろだったと思う。まずはスタートの混乱にのっかり、強引にバイクを前の選手のインに滑り込ませて順位を上げていく。僕の前には去年までFIDEA、ベルギーのプロチームで走っていたタイス選手がいた。あぁ、彼も巻き込まれたのね、と自分の気持ちを落ち着かせた。彼はこれから前に上がっていく。そのタイミングを合わせて前に連れてってもらおう作戦にした。
前を走るタイス選手とぼく。ヨーロッパの選手のそういうハングリーさと追い上げる力の凄さは身を持って知っていたので、ついていけるかは不安だったけど、とりあえずくっつき虫。序盤は各選手が元気なため、パッシングしていくのは難しかったけど、それでもじりじりと前に出ていく。タイス選手は少しキレがなかったけど、いいペースを刻んでくれていた。僕はなぜか体が思い通りに動いてくれ、自分にびっくりしていた。彼のペースに合わせるのにもあまり苦ではなかった。レース中盤にさしかかり、因縁のイタリア人がパックからアタックしたため、彼についていく。タイス選手は調子が悪そうだったので、彼の前でレースを展開しようと決めた。
その後は毎周回にパックを一つは追いつけるように10秒差内の前のパックには登りのパワー区間で必死にジャンプしていった。
頭の中の自分の思い描く走りに身体が応えてくれた。最高だった。終盤、トップ6のパックに追いついた。電光掲示板で自分の順位を確認して驚いた。ここまで上がってこれたのか、と。そこからは順位を意識して、確実に走る。
すると、タイス選手がいつの間にか追いついてきていた。偉そうだけど、さすがかなわないって思った。
ラスト一周でアタックをかけた彼は6位単独で前を走る。ぼくも必死に彼を追ったけど、今までとは全く違うスピードだった。終盤にこのペースか、、、と思いながら単独で彼を追った。最後までタイス選手には追い付かず、、僕は7位でゴール。結果はともかく、悪いスタートからあきらめずに最後まで前を食っていくレースができてなにより。目立ったミスもなく、バイクも壊さなかった。トップとも1分20秒差で、序盤の落車に巻き込まれたことと、そこからの集団後方の渋滞を考えれば悪くはないと思う。スタートがうまく決まっていれば、とも思うけど、スタートのあの落車のストップがあったからこその走りだったとも思う。いいレースができた。順位よりもそれが何よりうれしかった。刻んていたラップタイムもそこまで悪くなかったのだと思う。
それにタイス選手と一緒にレースを運べたでこともすごくうれしかった。やっぱり彼らも不運な中でもしっかりとレースを進めてくる。自分は今回のレースでは挽回できたけど、それでも彼らの走りを見習わないといけないと思った。もちろん、彼ら海外選手の彼らの主戦場での走りから比べると今回は少し遅いと思う。それはアジアのレースだから。ぼくにとっても中国は海外だけど、時差もないし、ご飯も違うといっても許容範囲。ほぼホーム。アウェイではない。それを踏まえたうえで成績をとらえないといけない。勘違いはしない、けれど、自信のつく走りができた。懸念していたバイクセッティングも日頃積み重ねていたトレーニングのおかげで苦にはならず、むしろ今までよりコントロールしやすくなった。路面がハードパックであるという理由かもしれないけど、とりあえず、新しい世界に踏み込んだように思う。
RACE day2に続く。

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